北メディア 後継指す?「党中央」表記
金正恩氏 妹を念頭か
北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は10日付の記事「主体朝鮮の絶対兵器」の中で、「偉大な党中央と思想も志も歩みも共にし、祖国繁栄の燦爛(さんらん)たる明日を前倒ししていくわれわれ人民の前進を遮る力はこの世にない」と述べた。
北朝鮮で対外的に「党中央」の表現が登場したのは1974年に国営メディアが突然、使い始めたのが最初。当時、この呼称は金日成主席の息子で後継者として内部的に活動していた金正日氏を指していたことが後に判明している。今回も健康悪化説が浮上した金正恩朝鮮労働党委員長の後継者と関係している可能性があり、関心を集めそうだ。
また同紙は同日付論評「革命の血統をしっかりつないで」で、「代を継いで継承されるべきは革命伝統」「革命の血統はひとりでに続くのではなく(中略)首領の偉業を最も完璧に継承していく卓越した領導者により担保される」と後継を示唆する内容を多用した。
健康不安を抱えるとされる正恩氏の後継には妹の金与正党中央委員会第1副部長が有力視されている。北朝鮮当局は今月5日、与正氏が対韓国事業を総括していることを公式に認め、このところ各機関が与正氏の発言を盛んに引用するなどその権威付けが目立っていた。
通常、後継は「内部手続き、本人の人事と偶像化、統治イデオロギーに対する解釈権の行使を経て最後に対韓国事業を任される」(韓国公安筋)という。与正氏の対韓国事業総括が事実とすれば内部的に後継がかなり進んでいる可能性もありそうだ。
(ソウル・上田勇実)