コウテイペンギン、群れの動きが「渋滞」に類似
独仏チームが南極で詳細を分析、起点は内側にも
南極のコウテイペンギンの雄が真冬の繁殖期に足元に卵を抱き、密集して極寒や暴風に耐える様子をドイツのエアランゲン・ニュルンベルク大などの独仏チームが詳細に分析し、成果を23日までに英物理学誌ニュージャーナル・オブ・フィジックスに発表した。
従来、群れの動きは外側にいる雄が暖かい内側に入ろうとして引き起こされると考えられてきた。しかし、内外関係なく、どの場所にいる雄が動いても群れ全体に動きが波及することが分かり、驚いたという。
動き方は自動車の渋滞に似ている。しかし、渋滞の場合は車の一時停止と移動の動きが後方にだけ伝わるが、コウテイペンギンの場合は最初に動いた雄の前後の雄が動き、次に左右の雄も動いていた。
これは適切な「車間距離」を保つためとみられ、1匹が2センチ以上動くと周囲も動きだすことが分かった。コウテイペンギンは羽毛の空気層が断熱材の役割を果たしている。隣同士で密着し過ぎると断熱材機能が損なわれ、離れ過ぎると冷気が入ってくるため、付かず離れずの一番暖かい距離を保とうとしているという。
群れの中の2カ所で動きが起きた場合も、動きの波がぶつかった所で一体化した。
研究チームは2005年6~7月にビデオカメラで雄の群れを撮影したが、個々の雄の動きを判別できなかったため、08年8月に高性能デジタルカメラと望遠レンズで計4時間、連続撮影した。気温は氷点下33~43度、風速は秒速14メートル程度だった。
コウテイペンギンの雄は、産卵した雌が海に餌を食べに出掛けている間、卵を両足の間で暖める。過去の調査では、群れの外側から内側に入った雄の体表温度は2時間で37度まで上昇したとの報告がある。