東西教会トップ、キューバで歴史的会談
分裂千年キリスト教歩み寄り、迫害教徒保護へ協力
ローマ・カトリック教会(信者数約12億人)の頂点に立つフランシスコ・ローマ法王(79)と、ロシア正教会(信者数約1億6000万人)最高位のキリル総主教(69)が12日、キューバの首都ハバナの国際空港で約2時間会談した。
東西教会の最高位同士による会談は、キリスト教会が1054年に東西分裂して以来、初めてのこと。ロシア正教会は、東方正教会の最大勢力として知られ、ローマ法王との初会談は「歴史的な和解」として、世界最大のカトリック人口を持つ南米ブラジルにおいても大きく報道されている。
フランシスコ法王とキリル総主教は、会談の中で中東の過激派組織「イスラム国」(IS)などによる中東地域とアフリカ北部でのキリスト教徒への迫害に対応することなどを確認、世界のキリスト教徒保護などを国際社会に要請するように働き掛ける共同宣言に署名した。
会談に際し、キリル総主教が「親愛なる兄弟に会えて本当にうれしい」と語り掛けると、フランシスコ法王が「やっと会えましたね」と答えた。会談後の記者会見で、両者は会談が開放的に進んだと評価、「私たちの会談が、神の意志による東西教会の融和に貢献することを願う」と表明した。
東西教会は、1054年の分裂以来、1274年と1439年に統一を目指したが失敗、最近では1997年に当時のヨハネ・パウロ2世(カトリック教会)とアレクシス2世(ロシア正教会)が会談を予定していたが、直前になってキャンセルされた経緯がある。今回の会談においても、特にロシア正教会の中では、教会内保守派を中心に強い反発があったという。
一方、ローマ法王と総主教は、それぞれ欧米やロシアで大きな影響力を持っており、今回の会談が、近年の欧米とロシアの衝突を緩和する役割を果たす可能性もありそうだ。
共同宣言の署名式には、カストロ国家評議会議長も同席。ローマ法王は歴史的会談実現に協力したキューバに感謝の意を表明した。(サンパウロ綾村悟)