アイソン彗星、太陽に最接近


分裂か無事通過か、日米欧衛星が追跡観測

アイソン彗星、太陽に最接近

欧米の太陽観測衛星「SOHO」で27日撮影されたアイソン彗星(すいせい、写真右下)。太陽(写真中央、円盤状に目隠ししてある)に29日午前4時9分に最接近する(NASA・ESA提供)

 昨年9月に発見されたアイソン彗星(すいせい)が29日午前4時9分、太陽に最接近する。今月に入って急に明るくなったり暗くなったりし、破片も分離したため太陽の熱と重力で分裂したとの見方もあったが、欧米の太陽観測衛星「SOHO」の27日の観測では明るく見えた。無事通過すれば、日本では来週半ばから夜明け前に、ほぼ東の地平線近くで見え始める見込み。

 国立天文台の渡部潤一教授は「12月6日ごろには尾がかなり伸びて明るくなり、肉眼でも見える可能性がある。どうなるか最後まで分からないので、12月中旬にかけてぜひ見てほしい」と話している。

 太陽系の遠い外れから飛来したアイソン彗星の核は、太陽系が約46億年前に形成されたころの氷やちりでできている。太陽最接近時に核内部の物質が放出されて光れば、原始太陽系の様子を探る手掛かりになるため、SOHOのほか米国の太陽観測衛星「ステレオ」「SDO」、日本の「ひので」で観測される。

 これらの衛星では、小さな彗星が太陽に飛び込んで消える様子が時々観測されている。