虫の接触5回で消化酵素
独大学などがハエトリソウで解明
食虫植物のハエトリソウ(ハエトリグサ)は、二枚貝のようなとげのある捕虫葉にハエやアリなどが入った際、内部に生えた「感覚毛」に5回程度触れると、消化酵素などを生み出す遺伝子が働き始めることが分かった。ドイツのビュルツブルク大などの国際研究チームが実験で解明し、米科学誌カレント・バイオロジー電子版に22日発表した。
捕虫葉の感覚毛は片側に3本ずつ生えており、中に入った虫が約30秒以内に2回触れると捕虫葉が閉じることが知られる。1回で閉じないのは、風で飛んできた物などによる「空振り」を防ぐためとみられる。
ハエトリソウが自生するのは米国南東部の湿地帯だが、世界的に園芸植物としても人気があり、捕虫葉をいたずらで何度も閉じさせると枯れてしまう。消化酵素の生産は捕虫葉を閉じるのと同様に負担が重く、中に入った虫が逃げようとして暴れるのを確実に感知してから遺伝子が働くと考えられる。消化酵素とともに、虫に含まれる栄養分のナトリウムを取り込むたんぱく質が作られ始めることも分かった。