「元気な福島の姿を世界に発信したい」


原発避難区域の和太鼓団体、米公演へネット募金

「元気な福島の姿を世界に発信したい」

米国ミシガン州での公演に向け、練習に励む和太鼓演奏団体「山木屋太鼓」のメンバー=14日、福島県川俣町

 東京電力福島第1原発事故で住民の避難が続く福島県川俣町山木屋地区の和太鼓演奏団体が、3月に米ミシガン州での海外公演を実現させようと、インターネットで寄付金を募っている。会長の遠藤元気さん(27)は「元気な福島の姿を世界に発信したい」と話す。

 1月14日夜。町の中央公民館で和太鼓演奏団体「山木屋太鼓」の男女13人がジャージー姿で練習していた。「セイヤ」「サー」。掛け声と共に大小の太鼓を打ち鳴らし、小気味よいリズムが響く。

 団体は、地元に古くから伝わる太鼓で地域活性化しようと、住民らが2001年に結成。原発事故の避難の影響で最盛期に約50人いたメンバーは、現在17人。各地のイベントなどで故郷の自然をテーマにした創作太鼓を披露している。

 ミシガン公演挑戦のきっかけは、現地在住の映像作家椎木透子さんとの出会いだった。椎木さんが制作したドキュメンタリー映画で、海外の人が「放射能で住める状況じゃない」と福島の印象を語っていた。

 遠藤さんは、椎木さんと交流するうちに「『若者が元気に太鼓を演奏する姿』を海外に発信することが復興につながる」と確信。滞在費などの金策に奔走したが、渡航費の一部100万円が集まらなかった。

 昨年12月、不特定多数から資金を集める「クラウドファンディング」を始めた。14日時点の募金額は約70万円。目標に達すれば、3月下旬にミシガン大で演奏できるという。遠藤さんは「ぜひ公演を実現させ、音楽で福島の今を届けたい」と話している。