総務省・消防庁、学生の防災活動に証明書
活動実績がある大学生や専門学校生ら、就職や進学を支援
総務省消防庁は、消防団員として地域の防災に貢献した学生に「活動認証証明書」を交付する取り組みに力を入れる。就職活動や進学でアピールできるよう2014年11月に制度を設けたが、15年9月時点で京都市や松山市など36団体の導入にとどまるため、全国の自治体に実施を呼び掛ける。証明書を受け取った学生は「消防団活動は目に見える形で評価される機会が少ない。証明書は力強い武器になる」と普及に期待を寄せる。
対象となるのは消防団で1年以上の活動実績がある大学生や専門学校生ら。所属する消防団長の推薦により市町村長が交付する。
東京都の赤坂消防団第3分団に所属する中央大法学部の伊藤稜さん(22)は15年7月、証明書を交付された。12年4月に入団し、地域の火災防止のための見回りなどに携わっている。15年10月には、心肺停止状態となった80代の男性を心臓マッサージなどで蘇生させた実績も。「地域に密着した仕事がしたいという気持ちを、証明書は公的に評価してくれた」と笑顔を見せる。
16年4月から東大法科大学院に進学するが、受験の際には証明書を添えて願書を提出した。分団長の金田芳勝さん(66)は「消防団での経験は進学先や就職先でも役に立つ。認証制度が(学生)入団のきっかけになれば」と力を込める。
住民らで構成する消防団は、消防職員と協力して消火活動や応急救護などに当たる。団員は1970年には約121万人いたが、15年には約86万人に減少。一方、学生団員数はここ10年で2・4倍の約3000人に増え、総務省消防庁は入団者の一層の拡大を期待している。