ヘボンの自筆ノート、横浜開港資料館で公開
初の和英辞典の草稿収録
ヘボン式ローマ字の考案で知られる米国人宣教医J・C・ヘボンの「手稿」(自筆ノート)の原本が、22日から横浜市の横浜開港資料館で公開される。同資料館は「原本の展示は極めて珍しく、貴重な機会」としている。
展示されるのは縦32・8センチ、横18・8センチの皮装丁のノート1冊で、ヘボンのサインがある。日本初の和英辞典「和英語林集成」(1867年初版)の草稿と、日本語訳をローマ字表記した「マタイ福音書」が書かれている。
ヘボンは、1859年の来日から数度の帰国をはさみ33年間、横浜市で暮らした。手稿は初来日から61年までの短期間に聞き取った日本語を元に作成したらしい。幕末期の日本語や、ヘボン式の誕生の経緯を知ることができるという。
手稿が収蔵されていたのは、ヘボンが初代総理を務めた明治学院大の図書館。保存上の観点から公開を見合わせてきたが、夫人のクララが同大の基礎となった「ヘボン塾」を開校して150周年になるのを記念し、公開に踏み切った。
ヘボンはローマ字や和英辞典、翻訳聖書のパイオニアとして知られるが、米国の最先端の医療技術を日本に紹介した教師でもあった。同大の秋月望図書館長は「本学にとって『宝物』の資料。ヘボンの業績の大きさを理解してもらう契機になることを望んでいる」と話している。