羽生が圧巻の演技、難度追い求め驚異のスコア


NHK杯フィギュアで首位、自身の世界最高点を更新

羽生が圧巻の演技、難度追い求め驚異のスコア

男子ショートプログラム(SP)の演技を終え、自身の世界最高点を更新し、喜ぶ羽生結弦(右)=27日、長野・ビッグハット

 みなぎる野心を込めて、恐るべきスコアをたたき出した。自らのSP歴代最高を5点近く更新して106点台に乗せた羽生は「得点には驚かなくてはいけないかもしれないけど」と言い、とつとつとした言葉で圧巻の演技を振り返る。むしろ冷静すぎる語り口から、高ぶる思いが伝わった。

 冒頭の4回転サルコーは軸が傾いたが、着氷で踏ん張った。続く4回転トーループから3回転への連続ジャンプ、後半に入れたトリプルアクセル(3回転半)はほぼ完璧。「失敗を恐れながらではなく、わくわくしながら滑れた」と楽しんだ。

 SPで4回転を2度組み込むのは初めて。SPで出遅れて2位に敗れたスケートカナダの後、自ら決めて挑んだ。指導を仰ぐオーサー・コーチですら驚いたという決断。トップの座を譲るわけにはいかないという強烈な自負が、見て取れた。

 スケートカナダでは、2季ぶりに復帰したチャン(カナダ)の総合力に屈した。18歳の金博洋は中国杯でSPとフリーで3種類の4回転を計6度組み込んだ。迫りくる猛者たちを引き離すためにプログラムの難度を上げ、力を見せつけた。

 まだ、上を見ている。「ジャンプの難しい入り方を突き詰めたり、4回転を(得点の増す)演技後半に入れたりして成長していきたい」。技術を極め、さらに難しいものを追い求めていく。