フィリピン・レイテ島、デマに振り回される住民


情報乏しく疑心暗鬼に

日本人宅に集まる、ジョセリン小沢さん(左手前)ら

台風30号で被害を受けたレイテ島で、日本人宅に集まる、ジョセリン小沢さん(左手前)ら=15日、フィリピン・タクロバン(時事)

 台風30号の最大の被災地フィリピン中部レイテ島のタクロバンでは、停電が続き外部からの情報も乏しい中、住民がデマに振り回されるケースが相次いでいる。

 タクロバン在住で日本人男性と結婚したジョセリン小沢さん(46)によると、小沢さんの住む地区は海岸から離れた高台にあり、台風による被害は少なかった。ところが5日ほど前、地区のリーダーがバイクで近隣を回り、共産ゲリラの新人民軍(NPA)が「ここの近くに来ている」として、リーダーの家に全員集まるよう呼び掛けた。

 「すごく膝が震えた」という小沢さんは慌てて89歳の母を車に乗せてリーダーの家に到着。しかし結局、NPAが来ている様子はなく、デマだったことが分かった。

 小沢さんの近所に住む岐阜県出身の熊谷重蔵さん(71)によると、この地区の住民には裕福な人が多く、「強盗が来る」とのうわさが広がった。ほとんどの家の家主はいなくなり、使用人が家を守っているが、これまでのところ実際に強盗事件は起きていないという。(タクロバン時事)