2000万年後以降、火星にリング形成の可能性


衛星「フォボス」崩壊で土星に類似、米大学研究者らが発表

2000万年後以降、火星にリング形成の可能性

米探査機が2008年に撮影した火星の衛星フォボス(NASAなど提供)

 火星の周りを回る二つのごく小さい衛星のうち、最大直径約27キロの「フォボス」は2000万~4000万年後に崩壊し、破片の一部が土星のようなリングを形成する可能性があると、米カリフォルニア大の研究者らが23日付の英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス電子版に発表した。

 形成されたリングは100万~1億年程度維持される見込み。崩壊は火星の重力に引かれて起き、大きい破片は火星の地表にゆっくり落下する。一方、月の場合は地球からわずかずつ離れているため、落下する心配はない。

 フォボスをめぐっては、米航空宇宙局(NASA)などの研究チームも今月開かれた米天文学会の会合で、3000万~5000万年後に崩壊するとの予想を発表した。

 NASAチームによると、フォボスは火星の地表から高度約6000キロの軌道を回っているが、100年当たり約2メートルずつ、高度を下げている。フォボスは昔は堅い岩石と考えられていたが、近年では内部は小さな岩石が寄せ集まってできており、もろいと推定されている。

 フォボスの表面には細い線状の溝が多数ある。小天体が表面をかすめるように衝突した「引っかき傷」との見方があるが、NASAチームは火星の重力の影響で表面が変形してできており、崩壊の兆候との見方を示している。