縄文人は「胴長短足」、南方起源ではない?
渡来系弥生人と変わらず、国立科博ら専門誌に発表
北海道から九州の20遺跡で出土した縄文人の人骨を分析したところ、北東アジアから朝鮮半島経由で日本に渡来した弥生人と同様に「胴長短足」だったとみられることが分かった。国立科学博物館の海部陽介人類史研究グループ長と東京大大学院の元院生田原郁美さんが14日までに、日本人類学会の専門誌に発表した。
縄文人は顔の彫りが深く、上腕骨や大腿(だいたい)骨に対して肘や膝から先の骨が相対的に長いため、これまでは南方が起源との説が有力だった。しかし、近年は遺伝学的研究などで北方起源説も提唱されている。海部さんは「今回の研究成果は北方起源説と合うが、これで決着ではない。縄文人が一つの集団ではない可能性もある」と話している。
海部さんらは、寒冷地では体温の放出を防ぐため、胴体に対して腕や脚が短くなるという考え方に注目した。
6000~3000年前を中心とする縄文人の人骨63体と、山陰から九州北部の4遺跡で発掘された約2000年前の渡来系弥生人27体について、胴体の長さと腰の幅、腕と脚の長さを調べた。その結果、縄文人と弥生人の体形には差がなかった。
さらに東京都台東区にある江戸時代の遺跡から出土した人骨94体を調べると、胴長短足の傾向が強まっていた。これは身長が低くなった影響と考えられるという。