内村航平が世界体操で大差の圧勝、6連覇
2冠に格別の達成感、2位に1・6点差
鉄棒から宙を舞い、吸い込まれるようにマットの上に降り立った内村。完璧な着地の余韻を楽しむようにゆっくりと体を起こした。他の選手は演技を終えている。勝利を確信し、両手を上下に動かして歓声を要求。「沸かせるだけ沸かせようと思って初めてやった」
2日前、団体総合で優勝を果たし、6人で手をつないで表彰台のてっぺんに上がる喜びを初めて味わったばかり。過去に5度経験している個人総合の優勝と「全然違った」達成感が、普段はしないパフォーマンスに内村を駆り立てた。
競技が始まる前、森泉貴博コーチと演技構成について相談。5種目までの結果次第で、鉄棒では団体総合決勝で失敗した高難度の離れ技カッシーナを抜こうという結論に達した。
裏を返せば、それでも勝てるということ。実際、難度を落とした鉄棒の演技で、出場選手中5番目に高い15・100点をマーク。6連覇は2位に1・6点差以上をつけた圧勝だった。
リオデジャネイロ五輪出場を決めた。オールラウンダーとしては最後になると感じている3度目の夢舞台。「五輪はまた別次元。団体も個人も世界選手権のようにはいかない」。内村は気持ちを引き締めたが、美しさと難しさを兼ね備えたこの日のような演技を見せれば、おのずと結果はついてくる。(グラスゴー時事)