ぶれぬ名将「完全燃焼した」、勝利追求した12年
巨人の原辰徳監督、退任が正式決定
巨人原監督の退任が正式に決まった。通算12シーズンでリーグ優勝7度、日本一3度。名将と呼ぶにふさわしい上々の実績を残した。
ベンチでどっしり構える姿から、現役時代の爽やかできっぷの良いイメージは消えていた。口癖のように繰り返した言葉は「勝つことが最大の目標」。この信念を貫いた。
2013年5月。本塁打王にもなったことがある村田を一回で交代させた。失策をした直後の打席で3球三振。理由は「試合に対する準備ができていなかった」から。シーズン序盤でも、相応の数字を残している選手でも容赦はしなかった。
村田はこの年、後半戦で復調し優勝の立役者になった。味わった悔しさを糧に「このままではいけない」と奮起した。
他球団の指導者の一人はこう評していた。「原さんじゃなかったら、チームが空中分解してもおかしくない」。監督がどんなに厳しい指示を飛ばしてもチームは乱れなかった。常にぶれない根本方針をナインが理解していたのだろう。
ここ2年は主力が衰え、難しいかじ取りを迫られていた。勝利至上主義のひずみからか、育成も十分ではなかった。今季はリーグ4連覇を逃した。それでも、原監督が残した功績は輝く。「勝つこと」への強い執念を植え付け、常勝球団の伝統を後任に託す。