イチローがメジャーで「投手」、ほろ苦1失点


「投げたい」と志願、今季最終戦で公式戦初登板

イチローがメジャーで「投手」、ほろ苦1失点

フィリーズ戦の8回に登板し、力投するマーリンズのイチロー=4日、フィラデルフィア(AFP=時事)

 背番号51がマウンドで投球練習を始めると、観客が次々とスマートフォンを取り出して珍しい光景をカメラに収めた。「監督には以前から、登板の可能性はあると言われていた。きょうは僕から投げたいと声を掛けた」とイチロー。シーズン最終戦の八回、2-6と敗色濃厚の場面で大リーグ初登板が実現した。

 先頭エレラに約138キロの直球を右翼線に運ばれ、無死二塁のピンチ。次打者にも大きな当たりを許したが、中堅手の守備範囲。初めてアウトを取ったこの瞬間だけ、思わず表情が緩んだ。

 代打スウィーニーにも二塁打を打たれて失点。悔しそうにマウンドの土を蹴り上げた後は、スライダーや「スプリットチェンジ」と表現した球を交ぜて後続を断った。最速は89¥外字(b3c2)(約143キロ)。ベンチに戻るとチームメートに笑顔で迎えられたが、「二度と投手の悪口は言わないと誓いました」と苦笑いした。

 打席では2三振に終わり、今季は打率2割2分9厘で終了。安打数は91本で、昨季まで日米で21年続けてマークした100安打に届かなかった。22日に42歳となるベテランは、「体力的には(1シーズンの倍の)324試合できるが、気持ち的な部分でなかなか安定しない状況」と打ち明ける。それでも「162試合ならやれる」。来シーズンに向けて、前を向いた。(フィラデルフィア時事)