ダルマゾFWコーチ、日本のスクラム鍛えた職人
8強入りへ負けられないサモア戦、スクラムがカギ
ラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会で、日本は優勝候補の南アフリカを初戦で倒し一躍注目される存在になった。目を引くのは強化されたスクラム。これまでは弱点とされてきたが、マルク・ダルマゾFWコーチが武器にできるまでに鍛え上げた。
元フランス代表のフッカー、ダルマゾ氏はエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチの招きで2012年11月から日本代表のスクラムを指導する。特徴は細かい技術の追求。8人の力を結集するため、足の置く位置を1センチ単位で微調整し、ジャージーをつかむ位置やロックがプロップの尻を押す角度なども突き詰める。
自らスクラムの上に乗ったり左右に引っ張ったりして安定感を試し、満足できなければ何度も組み直させる。「スクラムはピアノと同じで反復練習が大事」と妥協しない。ジョーンズ・ヘッドコーチは「いつもスクラムのことを考えている変人であり、職人」と評する。
南ア戦では試合終了直前に得たPKからPGを狙わず、スクラムを選択して逆転勝利につなげ話題になった。決断の背景には、FW陣に対するチームの自信があった。
23日のスコットランド戦は敗れたものの、前半はほぼ互角だった。序盤のスクラムで2度反則を取られたが、その後は修正。ダルマゾ氏は「よくレフェリングに対応した。体力面で成長し、低さで勝負できるようになった」と振り返る。
8強入りへ負けられない10月3日のサモア戦に向け、敏腕コーチは「相手は重くて力強いが、(当たる)スピードはない。対応できるはず」とみる。今度もスクラムがカギになりそうだ。(ウォリック〈英国〉時事)