勝茂夫元世銀副総裁が「ナザルバエフ大学」学長
カザフスタンのトップ大学学長に日本人
中央アジアのカザフスタンで国を担うエリートを育てるため、大統領の名前を冠して2010年、首都アスタナに創設された「ナザルバエフ大学」で、日本人が学長を務めている。元世界銀行副総裁の勝茂夫学長(63)で、「2050年までの先進30カ国入り」を目指すカザフの国造りをけん引する人材育成に取り組んでいる。
勝学長は「ナザルバエフ大統領からはあらゆる分野で次世代のカザフのリーダーになる人材を育成してくれと頼まれている」と話す。学部は科学技術学部、工学部、人文社会学部の三つで、授業と研究は全て英語で実施。欧米の著名大学と提携し、教授陣は英米や日本、中国、シンガポールなどから招聘(しょうへい)している。カザフのトップ大学として得た知見は国内の他大学に伝え、大学改革を先導する役割も担う。
「わが大学のビジョンは非常に野心的で、カザフのみならず世界に貢献できる人材を育成することを目指す」と勝学長。今年6月に初めて卒業生が誕生。総勢約370人のうち約120人が欧米の有力大学院に進学した。今秋には医学部を開設するほか、カザフはエネルギー資源が豊富なことから鉱山学部の創設も予定。中央アジアのほか、日本などからの留学生受け入れも強化したい考えだ。
50年までの先進30カ国入りという目標について勝学長は「わが大学の学生が(国を担い)真剣に取り組めばできないことはない」と期待する。「(旧ソ連圏の)カザフが独立して24年、来年でようやく四半世紀。学生たちにはリーダーになるという意気も意志もある」と評価する。
ただ、目標達成のためにカザフは「継続的に近代化を続けなければならない」と指摘。「今年再選されたナザルバエフ大統領も制度改革が重要と認識しており、公務員制度改革など五つの路線を進める国家委員会をつくった。これらをうまくやれば50年に向けた基礎づくりができる」と語った。(アスタナ時事)