可能性を信じた日本、終了間際の逆転トライ
W杯ラグビーで世紀の番狂わせ、南ア下し24年ぶり勝利
誰もが予想しなかった日本の大金星。桜のジャージーをまとった男たちが抱き合い、泣いた。名将ジョーンズ・ヘッドコーチも「本当に信じられない」。日本のファンが長らく待ち焦がれたW杯の勝利を、優勝候補の南アフリカからもぎとった。
開始直後に攻め込まれる時間が続いても、何度もボールを奪い返してピンチをしのぐ。後半は2トライを奪われたが、五郎丸のPGで食い下がる。後半28分には立川、小野、松島、五郎丸とつなぐ鮮やかなライン攻撃でトライ。南アを翻弄(ほんろう)した。
同点で迎えた後半32分。南アはゴール前でPKを得てPGを選択。トライを狙ってこなかった。これで3点リードされても、リーチは「相手が焦っているのを感じた」。
そして終了直前。日本が敵陣深くでPKを得た。PGで引き分けを狙う策もあったが、相手FWがシンビン(一時的退出)で1人少ないこともあり、リーチは「同点ではなく、勝ちにいく」とトライを奪うためにスクラムを選択した。ミスが許されない状況でボールを動かし、最後はヘスケスが左隅へ歓喜の逆転トライを決めた。
ボールを速く動かす連続攻撃。強化を進めてきたスクラムと粘り強い防御。後半でもペースが落ちないスタミナ。五郎丸という正確なキッカーの存在。W杯のために準備してきた全てがかみ合い、南アのプライドを打ち砕いた。奇跡か、と問われた五郎丸は「ラグビーに奇跡なんてない。必然の勝利」。自分たちの可能性を信じ、極限まで鍛え上げてきたからこそ生まれた自信が、歴史的勝利をもたらした。(ブライトン時事)