小笠原が決めた、野手陣に支えられた「二枚看板」
全国高校野球で東海大相模、45年ぶり2度目の全国制覇
最後の打者青木に投じたのは、145キロのこん身の直球。右翼への打球が野手のグラブに収まった瞬間、小笠原は雄たけびを上げた。「最高。うれしすぎて涙も出なかった」。次々に駆け寄るナインと人さし指を天に突き上げ、感激を味わった。
勝利は自身の本塁打で決めた。同点の九回に「気持ちよく三振してこい」と送り出され、初球を強振。9番打者の「まさか…」の一発が、鬼気迫る投球を続けていた佐藤世の緊張の糸を切る、強烈なカウンターパンチとなった。
投手としては、厳しい試合が続いた。最速150キロ超を誇るナンバーワン左腕と騒がれながら、痛打される試合が目立った。この日も味方の援護をもらいながら、集中打を浴びる展開。「苦しかったけど、1イニングずつ粘り強く投げた」。失点しても「想定内」と肩をたたき続けたベンチの後押しが、折れそうな気持ちを支えてくれた。
プロ注目の小笠原、吉田の二枚看板を擁し、優勝候補筆頭と言われた東海大相模へのマークは、想像以上にきつかった。そんな中で、野手たちは「アグレッシブ・ベースボール」を合言葉に、両投手を猛打でカバーし続けた。門馬監督は「小笠原と吉田の2人だけで勝ったんじゃない」と、全員で勝ち取った栄冠を強調した。