「『命のビザ』の理念を世界に伝えたい」


岐阜県八百津町の杉原千畝記念館にユダヤ人職員

「『命のビザ』の理念を世界に伝えたい」

第2次大戦中、ユダヤ人に「命のビザ」を発給した杉原千畝氏の功績を説明する「杉原千畝記念館」非常勤職員のリバーモア・ハニトさん(中央奥)=4日、岐阜県八百津町の杉原千畝記念館

 リトアニアで第2次大戦中、ナチス・ドイツから逃れようとするユダヤ人に2000通を超える「命のビザ」を発給した故杉原千畝氏の生誕地、岐阜県八百津町で、イスラエルから来たユダヤ人女性が働いている。「杉原氏はまず目の前の1人を救うため行動した。その理念を世界に伝えたい」と語るリバーモア・ハニトさん(46)。「杉原千畝記念館」非常勤職員として忙しい毎日を過ごしている。

 ハニトさんは旅行で初めて来日。日本人の「親切さや思いやり」に心を引かれ、大学で日本語を学んだ。1996年に交流事業で岐阜に来た。当初、杉原氏のことはほとんど知らなかったが、杉原氏の親族に会いユダヤ人との関わりを学び、「杉原氏の精神を伝えていかなければならない」と決意。同町に移住し、2013年から記念館で働いている。

 記念館には年間約2000人のイスラエル人が訪れる。親子連れの来訪も多い。杉原氏について、見学者は口々に「偉大で、自分にはまねできない」と語る。ハニトさんは「杉原氏も最初から数千人を救おうと行動したわけではない。日頃から身の回りで困っている人に目を向けてほしい」と訴えている。

 母国ではパレスチナ人との衝突が絶えない。ハニトさんは「『イスラエルが』『パレスチナが』と政府レベルで考えると一人ひとりの存在が見えなくなる。ユダヤ教にも『1人を救うことは世界を救うことと同じ』という言葉がある。目の前にいる人とどう付き合うかを考えていくべきだ」と力を込めた。