映画「愛を積むひと」


熟年夫婦が紡ぐ家族の物語

映画「愛を積むひと」

北海道で第二の人生を歩むことになった小林篤史(佐藤浩市)と良子(樋口可南子)=2015 「愛を積むひと」製作委員会

 大田区で工場を営んでいる小林篤史と良子の熟年夫婦が、工場をたたんで北海道に移住するところから物語は始まる。

 雄大な草原の中でのどかな日々がすぎていく。夫はものぐさになり、妻はガーデンづくりや内装のアレンジなど、ささやかな生活を満喫していた。夫を見かねた良子は夫に石塀作りをたのむ。

 そんなある日、良子は心臓の病気で入院する。一時、退院して明るく振る舞うが、願いはかなわず、突然最後を迎える。

 悲しみにくれる篤史のもとにある日、良子からの手紙が届く。

 そんな日々の一方で、石塀作りを手伝ってくれた若者杉本徹と女子高生上田紗英との出逢いがあり、篤史は疎遠になっていた娘聡子と再会するなど、それぞれのドラマが重なる。

 原作は米国で2002年に出版された小説「石を積むひと」(エドワード・ムーニー・Jr.著)。日本でも04年に翻訳されロングセラーとなっている。監督と脚本は「武士の献立」などを手掛けた朝原雄三監督。

 同監督は「日本と米国とで設定は異なる形になったが、原作者が示してくれた理想への期待は生かすことができたように思う」と語り、日本風な設定にしてより人情味豊かな作品になっている。

 撮影は、北海道美瑛町で行われた。

 小林篤史・良子夫婦に佐藤浩市、樋口可南子。その娘聡子に北川景子。心に傷を持つ若者杉本徹に野村周平、彼を思う女子高生・上田紗英に杉咲花。紗英の両親、熊二と美智子に柄本明、吉田羊がそれぞれ演じた。(佐野富成)