JR九州の株式上場と完全民営化へ準備が整う
安全運行と収益の両立が課題、豪華列車は競争激化
改正JR会社法が3日成立し、JR九州の株式上場と完全民営化へ準備が整った。上場企業になれば利益と配当が求められるが、本業の鉄道事業は赤字のままだ。目玉の豪華列車に他のJRが参入を表明するなど競争環境は厳しくなっており、安全運行・路線網の維持と収益の両立が課題となる。
JR九州の2015年3月期の連結純利益は過去最高となったが、鉄道を中心とする運輸サービス事業は赤字だった。その中で好調を続けるのが13年に運行を開始した豪華列車「ななつ星in九州」だ。訪日外国人の急増にも支えられ、14年8~11月分の応募倍率は37倍に上った。15年3~9月分でも22倍と人気は続く。
ただ、対抗する豪華列車として、JR東日本の「四季島(しきしま)」とJR西日本の「瑞風(みずかぜ)」が17年春に登場。上質のサービスを求める中高年層をJR同士で奪い合う形となる。
JR九州の管内では5月、長崎線で2本の特急列車が危うく正面衝突しそうになる事態が発生。今後は再発防止に向けた設備投資が収益を圧迫する。青柳俊彦社長は衆院国土交通委員会で「収入確保や経費節減で、ネットワークの維持、活性化に努める」と表明したが、無人駅への切り替えも進めている。このため、地域住民へのサービス低下を懸念する声が出ている。