イチロー、ベーブ・ルースの通算安打数を抜く
単独42位の2874安打、技術と足で単打重ねる
いかにもイチローらしい打撃でベーブ・ルースの通算安打数を抜き、さらに1本上乗せした。二回、オリオールズのヒメネスから奪った大リーグ2874本目の安打は、内角寄り低めの速球を柔らかい振りですくい左前へ落とした一打。九回は三塁方向への緩い当たりを投手に捕らせ、俊足を生かして内野安打にしたものだった。
この2安打に象徴されるように、巧みなバットコントロールとスピードで安打を積み重ねてきた。2875本のうち8割以上の2340本が単打。通算714本塁打でファンを沸かせたルースとは対照的で、歴代単独42位となっても「僕とは全然タイプが違って安打の数が比較にはならないでしょう」と淡々としていた。
昨年8月、ルースと同時代を生きたジョージ・シスラーの通算安打数を抜いた時に「一番意識する人。僕にとっては大きな数字」とコメント。2004年にシスラーが持っていた大リーグ年間最多記録の257安打を塗り替えた際にも、それまで見せたことのないような感極まった顔で喜びに浸っていた。
渡米して15シーズンで大スターの数字を超えても41歳の心はさして動かず、視線は先に置いたまま。長距離砲ルースの偉大さを十分に知った上で、イチローは安打製造機としての誇りを胸に秘めている。