文科省、無人補給機「こうのとり」の改良計画
製造コストの半減を目指す、将来の月探査も視野に
文部科学省は20日、国際宇宙ステーション(ISS)に物資を輸送する無人補給機「こうのとり」(HTV)を改良し、現在の製造コスト約200億円の半減を目指す計画を明らかにした。2016年以降のISS計画参加の在り方を議論する専門家検討会に示した。来年度予算の概算要求に開発費の一部を盛り込む方針。
日本はISS運用経費の各国負担の代わりに、これまでHTV7機の物資輸送を提供。20年までのISS運用延長が決まったことを受け、16年以降の方針を検討してきた。
文科省は20年までの負担分を補給機3機の輸送で賄うとした上で、1月に改定された宇宙基本計画が「将来への波及性の高い技術で(延長に)対応する」としたのを受け、うち1機を新たな補給機とする方針を決めた。
開発は①大型機器を運べる高い輸送能力を維持②コストの大幅削減③将来の月探査や物資回収などの発展可能性-をコンセプトに進める。
具体的には、現行HTVの貨物室は変えずに開発コストを抑える一方、全体構造を簡略にして軽量化。エンジンや制御系はまとめてモジュール化し、将来の用途にも対応できるようにする。
米国は24年までのISS運用延長を希望している。文科省は日本が継続参加し、新補給機で負担金を分担する場合を想定。1機当たりの製造コストは現行HTVの半額を目標としている。