楽天が初の日本一、球団創設9年目の栄冠


日本シリーズを制し、胴上げされる楽天の星野監督=3日、Kスタ宮城

日本シリーズを制し、胴上げされる楽天の星野監督=3日、Kスタ宮城

 プロ野球の日本シリーズは3日、日本製紙クリネックススタジアム宮城で第7戦が行われ、パ・リーグ優勝の楽天がセ・リーグを制した巨人を3-0で破り、対戦成績を4勝3敗とし、球団創設9年目で初の日本一に輝いた。星野仙一監督は中日、阪神の監督時代を含め、4度目の日本シリーズで初めて頂点に立った。

 楽天は2009年以来2度目の出場となったクライマックスシリーズを初めて勝ち抜き、日本シリーズでは9連覇した1973年以来となる連続日本一を狙った巨人との戦いを制した。

 最高殊勲選手(MVP)には、楽天の美馬が選ばれた。

はい上がる姿に共感、東北でイーグルス羽ばたく

日本一となり、抱き合って喜ぶ楽天の田中(右)と嶋=3日、Kスタ宮城

日本一となり、抱き合って喜ぶ楽天の田中(右)と嶋=3日、Kスタ宮城

 楽天が球団創設9年目で初めての日本一に輝いた。プロ野球で最も歴史の浅いチームが、最も伝統のある巨人を倒しての栄冠。東日本大震災で大きな被害を受けた東北をフランチャイズにするチームが、その歴史に大きな一ページを記した。

 2004年に近鉄とオリックスの合併をきっかけとしてプロ野球再編問題が起こった。楽天はその混乱の中、12球団制を維持するために、急場しのぎのように創設された新球団だった。

 島田亨前社長は「大物ルーキーの田中が入団した07年あたりから、球団として力がついてきた」と振り返る。人気と実力を兼ね備えたスターがゼロから始まったチームに芯を通し、データ野球が信条の野村克也元監督が野球の基礎をたたき込む。そして星野仙一監督が選手に最も欠けていた闘志を植え付けた。

 地元ファンもチームの成長過程を、自分の子どものように見守った。大敗が続いても、温かい声援で励ました。野村元監督は「長くプロ野球界にいたけど、楽天のファンは最高だった」。球団は地域に確実に根を張っていった。

 11年の大震災で、球団もファンも地域のつながりが大切なことを実感した。当時選手会長だった嶋が「見せましょう。東北の底力を」と発したメッセージは、失意にあった被災者に勇気を与えた。星野監督は「震災の支援活動で優しさは示した。今度は強さを見せよう」と選手を鼓舞してきた。楽天は日本一という最高の結果を出し、復興へ向かう大きな力の象徴となった。

 津波で甚大な被害を受けた宮城県南三陸町で楽天応援協議会を運営する小坂克己会長は「はい上がる姿が、復興に励むわれわれにも重なる」と思いを寄せる。ファンとともに苦境を乗り越えてきたイーグルスが、東北で大きく羽ばたいた。