ホンダの小型ジェット、国内投入に壁


空港のインフラ整備や発着枠制限が課題

ホンダの小型ジェット、国内投入に壁

「ホンダジェット」の前で握手を交わすホンダの伊東孝紳社長(中央)ら=23日午後、東京・羽田空港

 ホンダの小型ビジネスジェット機「ホンダジェット」が日本の空を初めて飛んだ。東京五輪が開催される2020年をにらみ、日本市場への投入を検討しているが、当面は欧米での販売が中心となる。日本では、空港のインフラ整備や発着枠制限などの壁が立ちはだかる。

 「本田宗一郎の夢であり、それを引き継いできたホンダマンの夢だ」。伊東孝紳社長は23日の記者会見で、創業者の名前を出し、航空機参入への思いを語った。ホンダの航空機の歴史は、国産軽飛行機の設計を一般募集した1962年にさかのぼる。実際に開発が始まったのは86年。日本の空を飛ぶまでに半世紀以上かかった。

 ビジネスジェットは全世界で年間700機程度が販売されている。市場は過去20年間、年平均5%程度の成長を続けており、今後も拡大が見込まれる。しかし、日本で登録されている民間機は55機にとどまり、欧米に比べ、大きく遅れている。

 大都市近郊にビジネスジェット専用空港がある欧米に対し、日本は最も利用ニーズがある羽田空港でも発着が1日8回までに制限されるなど利用環境が整っていない。

 航空分野に詳しい日本政策投資銀行企業金融第4部の斉藤成人課長は「空港のインフラ整備がネックだが、地方空港の民間企業への運営権売却が進んでおり、自由な発想が出てくることに期待したい」と、日本での利用拡大の可能性を語る。

 ホンダの米航空機子会社ホンダエアクラフトの藤野道格社長は「長期的にはチャンスがある」と意欲を示した。