鈴木雄介、全日本競歩能美大会で世界新記録
最後まで美しい歩型、地の利生かし快挙
世界記録更新のゴールテープを切った直後。鈴木は呼吸を乱さず、「2周目(2~4キロ)で一気にペースが上がってしまって、落とすに落とせなくなった」。快挙を成し遂げたとは思えないほど淡々としていた。
序盤から果敢に飛ばした。地元のコースでは、2年前に日本記録を出している。「10キロすぎから確信を持てた」。1周2キロを7分40秒前後で刻み、最後まで一定のペースを保った。
定評のある歩型は最後まで崩れず、安定していた。「美しく歩き切って、世界記録を出したかった」と鈴木。2月に神戸で行われた日本選手権では、年下の高橋英輝とともに日本記録を上回ったが、10秒差で敗れた。
手ごわいライバルの存在は力となる一方、意識し過ぎて、調整段階からリズムを崩すこともあるそうだが、今回は慣れ親しんだコースで伸び伸び歩いた。
地の利を生かしたこともあり、レース後には「プレッシャーがかかる中でも勝てる実力を身に付けないといけない」との思いを強くした。世界記録は「一つの夢」だが、世界選手権や五輪を制するのが「一番の夢」。「ここがゴールではない」と言葉に力を込めた。