ハチ公を抱き留める上野英三郎博士像の除幕式
ハチ公の没後80年、勤務先東大農学部に
渋谷駅で飼い主の帰りを待ち続けた忠犬ハチ公の没後80年の8日、飼い主の上野英三郎博士が教授を務めていた東京大農学部(東京都文京区)でブロンズ像の除幕式が行われた。上野博士が駆け寄るハチ公に喜び、かばんを置いて抱き留める姿。式典には大勢の愛犬家らが集まり、渋谷駅前のハチ公像と並ぶ名所になると期待される。
像の設置を提案したのは、愛犬を亡くした経験がある文学部の一ノ瀬正樹教授。「ハチ公は海外でも有名だが、飼い主があまり知られていない」と感じ、農学部に働き掛けた。「犬と人の関係をめぐる研究が世界的に急増しており、学術的にも意義深い」(長谷川寿一副学長)として、募金約1000万円を集めて実現した。
上野博士は日本の農業土木学の創始者。農学部は当時、渋谷駅に近い駒場にあり、上野博士は普段は近所の自宅から歩いて通勤したが、農事試験場や出張の帰りに渋谷駅を使った。
ブロンズ像を作った名古屋市の彫刻家植田努さん(40)によると、上野博士像は高さ約1メートル90センチで、実際よりやや大きい。上野博士が1925年に53歳で急死した際、秋田犬のハチ公はまだ若く、植田さんは「元気なハチ公をイメージした。上野博士は優しい中にも威厳を持たせた」と語った。