「偽物」はどれ? 巨匠の絵画に中国製の模写を
英美術館「ダリッジ・ピクチャー・ギャラリー」でユニークな試み
英ロンドンにある美術館「ダリッジ・ピクチャー・ギャラリー」で10日、展示されている巨匠の絵画に中国製の模写を紛れ込ませるユニークな試みが始まった。観覧者は早速、美術館のタブレット端末を手に「偽物」を捜して歩いた。
同美術館の常設展はレンブラント、ルーベンス、ゲインズバラらの作品270点で、そのうち模写と入れ替わったのは1点だけ。中国福建省アモイ市の業者に真作の写真データを送って注文し、3週間後に受け取った。費用は送料込み126ドル(約1万5000円)という。
届いた模写は真作と同じ額縁に入れられ、真作があったのと同じ場所に展示されている。どれが模写かは4月28日まで公表されない。
観覧者に周りの作品を改めてよく見てもらうのが企画の狙い。ブレイ主任学芸員は「(模写が紛れ込んでいると知ると)全てが急に疑わしく思えてくる。どの絵も1枚ずつ、きっちりと見なければならなくなる」と話す。
一方、企画を発案した米芸術家ダグ・フィッシュボーン氏は「作品を見る時の感じ方が揺らぐだろうね」と指摘。見る人をだますつもりはなく、立派な額縁に入って美術館に飾られているから価値があるはず、という思い込みを取り除きたいと強調した。(ロンドンAFP時事)