再生羽毛が利用広がる、良質で環境に優しい
三陽商会、再生羽毛を使ったダウンコートの販売を始める
ダウンコートや布団に使われる羽毛を再生して製品に活用する動きが広がっている。中国や新興国の経済成長を背景に羽毛の需要が伸びる一方、鳥インフルエンザなどで市場流通量が減少。良質な羽毛の確保が難しくなっており、今後、再生利用が拡大しそうだ。
三陽商会は2014年秋冬向け商品から、衣料品で初めて再生羽毛を使ったダウンコートの販売を始めた。15年秋冬用は取り扱いブランドを増やす考え。製品担当の石田和孝主任は再生羽毛について、「価格は新毛より割安で品質は同等、環境にも優しい」と話す。
使用した再生羽毛は、羽毛メーカーの河田フェザー(三重県明和町)の製品。「使用済み」の羽毛を軟水で洗浄し、乾燥させて不純物を取り除いたもので、育児用品販売のグランドール(愛知県長久手市)が販売するブランケットなどにも使われている。
河田フェザーの黒田健執行役員は「羽毛は貴重な循環資源。再生羽毛は市場価格に左右されない上、不純物が少ない」と指摘する。現在、アパレルなど数社から問い合わせがあるが、黒田氏は「再利用する羽毛の回収量が少なく、応じられないのが実情だ」と話す。
羽毛のリサイクルは欧米では一般的だという。河田フェザーは回収を促進しようと、12年12月から三重県共同募金会などと羽毛製品の回収を始めた。スポーツ用品大手のゴールドウインも13年から店頭で自社製ダウンジャケットなどを集めており、羽毛リサイクルの動きが広がり始めている。