息で肺がん診断、空気中ウイルスも検出
パナソニックが空気清浄の技術を応用して次世代製品を開発
パナソニックが家電で培った空気清浄などの技術を応用し、次世代製品の開発を進めている。患者が息を吹き掛けるだけで肺がんを診断できるほか、空気中に浮遊しているウイルスの検出も可能となりそうだ。東京五輪で海外から多数の外国人が来日する2020年にも実用化したい考えだ。
同社は犬と同程度の嗅覚を持つとされるマウスの遺伝子配列を再現して、においで発光する細胞を作り、肺がん特有のにおい成分を検出することに成功した。さらに成分を濃縮することにより、10分程度で肺がんに罹患(りかん)しているか診断できるという。
レントゲンや体から細胞を取り出して検査する従来の方法に比べ、患者への負担が少ない。医療機関などでの予備検査用として、5年ほど先の実用化を目指す。担当者は「装置のさらなる小型化で将来的には一般家庭でも簡単に検査できるようにしたい」と話している。
一方、鳥インフルエンザや新型インフルエンザなどウイルスによる感染症を診断するには、感染した動物や人から粘膜などの検体を取り出して診断する必要がある。最終的な感染確認には不可欠だが、時間がかかるのが課題だ。
パナソニックは、肺がん検査でも利用する濃縮技術で空気中からウイルスだけを集めることにも成功。さらに光技術を応用して特定のウイルスの有無を判断できるように開発を進めている。