「伝説の男」葛西紀明42歳、W杯17勝目


自身の最年長優勝記録更新、自信深め快挙、初の総合Vにも意欲

「伝説の男」葛西紀明42歳、W杯17勝目

ノルディックスキーのW杯ジャンプ男子で優勝し、ガッツポーズする葛西紀明=29日、フィンランド・ルカ(EPA=時事)

「伝説の男」葛西紀明42歳、W杯17勝目

ノルディックスキーのW杯ジャンプ男子で優勝した葛西紀明の飛躍=29日、フィンランド・ルカ(EPA=時事)

 葛西は1回目にヒルサイズを軽く越える145メートルの大ジャンプ。テレマークこそ入らなかったが、「年に数本」という会心の飛躍は、首位に立つには十分な飛距離だった。

 2回目は、1回目135・5メートルで6位のアマンが144メートルをマークして首位に立った状況で迎えた。強かった向かい風が弱まる不利な条件の中で粘ったが、飛距離は131・5メートルと伸びなかった。「2位、3位…。どこまで落ちるんだろう」。諦めかけていた優勝を、電光掲示板で確認すると、派手なガッツポーズを繰り返して喜びを爆発させた。

 今季早くも第3戦で優勝を果たし、1月に打ち立てたW杯史上最年長記録を更新。42歳5カ月での快挙に、同得点で優勝したアマンは表彰式でひざまづいて敬意を示し、W杯最多52勝のシュリーレンツァウアーも式後に駆け寄って握手を求めた。

 全選手がほぼ同じ条件で飛んだ1回目に最長不倒をマークしたことで「自信の段階が一つ上がった」という。「自分が続けることで、みんながそれを目標に頑張ると思う」と常々話しているベテランが、この優勝で他選手にとって、さらに高い壁になった。

 開幕3戦の好成績で、W杯総合順位でもトップのアマンと36点差の2位に上がった。「ここまできたら総合優勝を狙っていきたい」。長いシーズンは始まったばかりだが、抜群の安定感に裏打ちされた自信が、力強い言葉を生んだ。(ルカ時事)