米漂着の実習船、故郷に


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 東日本大震災の津波で岩手県陸前高田市から流され、米カリフォルニア州の浜辺に漂着した高校の実習船が22日午前、同市に到着した。震災から2年7カ月ぶりの「帰郷」を、同校の生徒が迎えた。  船は今年4月、同州クレセント市の浜辺に打ち上げられているのを地元住民が見つけた。長さ約6メートルの船体は泥や貝などに覆われていたが、「高田高校」と記され、同校海洋システム科でホタテ養殖の実習などに使われていた船と判明した。

 クレセント市の高校生が返還のため募金の呼び掛けを開始。資金集めは難航したが、日本の商船会社が輸送費の支援を申し出た。9月末に同州から輸送船で運ばれ、13日に仙台港に到着。22日はトラックで陸前高田市の博物館に運ばれた。

 同科の2年生約30人が実習船の到着を見守った。小松義拓さん(17)は「米国で見つかったと聞いた時は驚いた。震災を忘れないために、船を見て思い返すことができればいい」と話した。船は博物館で一時保管された後、震災を伝える施設で展示される予定だ。

 高田高は津波で3階建ての校舎が全壊し、港に陸揚げされていた実習船数隻もすべて流された。2011年5月からは隣の大船渡市内の仮校舎を使用している。

 一方、津波は米西海岸に到達し、クレセント市でも1人が犠牲となった。漂着した船をきっかけに、来年には同市の高校生が高田高を訪れ、生徒同士が交流するという。