楽天テニスで錦織圭「また一つ壁を破れた」
チャンス逃さぬ集中力、2週連続V
相手のショットがネットにかかった瞬間、満員の観客は総立ちとなった。コート上で大の字になった錦織の目にはみるみる涙があふれた。右臀部(でんぶ)痛を抱えながらも2週連続優勝を成し遂げ、「また一つ壁を破れた。日本で優勝できて感極まった」。
ライバルのラオニッチとは今年2勝1敗。しかし、最速230キロのサーブに苦しめられ、常に接戦を強いられる。「サーブを決められても、くよくよするな。ワンチャンスは必ず来る。そこで積極的に攻めろ」。それが、チャン・コーチのアドバイスだった。
最終セット5-4から、そのワンチャンスが巡って来た。強烈なサーブに体を投げ出して食らいつき、深い返球から3ポイント連取でマッチポイント。前週から9試合を戦い、「体力は限界を超えていた」というが、「全米で4、5セットの試合を勝ち、やれるんだという自信が付いた」。この試合でたった一度のサービスブレーク。最後に錦織の集中力が上回った。
年間ポイント上位8人で争うワールドツアー最終戦(11月、ロンドン)への出場が次の目標。この優勝で、獲得ポイントのランキングは5位となり、大きく前進した。「だんだん真実味を帯びてきたと思う。でもまだ大きな試合が残っている」。次なる戦いの場に向け、錦織は早くも闘争心をたぎらせた。