20歳の勝負師、躍り出た新星「愛ちゃん」


鈴木愛が1打差で逃げ切る、日本女子プロゴルフで最年少V

20歳の勝負師、躍り出た新星「愛ちゃん」

大会最年少記録で優勝し、両親と笑顔で撮影に応じる鈴木愛(中央)。左は父の健司さん、右は母の美江さん=14日、兵庫・美奈木GC

 わずか20歳と4カ月余りで、女子プロゴルファー日本一の称号を得た。昨夏プロテストに合格し、ツアー12位が最高だった鈴木。初勝利をメジャー制覇で飾り「自分でもびっくりしている」。会心の笑顔を見せた。

 心理的な窮地をはね返す強さがあった。優勝を手繰り寄せたのは17番(パー4)。直前の16番(パー5)でラフへバンカーへと入れた末にボギー。通算5アンダーで2位と1打差になった。「駄目かな…」。不安も脳裏をかすめた。

 しかし、17番の第1打はフェアウエーへ。見守った南秀樹コーチは「あの状況で、あのショット。精神面に感服した」。第2打でピンまで約3メートルに乗せた。パットに臨む前、ボードで「1打差」を確認すると、見る見る勝負師の顔に。「ここでバーディーなら逃げ切れる。絶対に取る」

 鮮やかに沈め、ガッツポーズを連発した。転戦に付きっきりの母、美江さんが認める負けず嫌いの本領発揮。もっとも、この日ラウンド前は重圧に押され、朝食を半分も残した。「そんなことは一度もなかった。よく乗り越えてくれた」。成長した娘をねぎらった。

 小学校高学年の頃に憧れ、ゴルフを始めるきっかけにもなった宮里藍の大会最年少優勝記録を超えた。大先輩の名前は同じ読み方。躍り出た新星は多くのギャラリーに「皆さまに『愛ちゃん』と呼んでもらえるように頑張ります」と誓った。