勝負どころ逃さず、エースと主将の執念実る


大阪桐蔭、全国高校野球で2年ぶり4回目の優勝

勝負どころ逃さず、エースと主将の執念実る

三重を破り、2年ぶり4回目の優勝を果たした大阪桐蔭ナイン=25日、甲子園

勝負どころ逃さず、エースと主将の執念実る

7回裏大阪桐蔭2死満塁、逆転の2点適時打を放つ中村=25日、甲子園

 1点を追う七回1死満塁で、空振り三振に倒れた福島は次打者の中村に声をかけた。「頼んだぞ」。粘り強く投げていたエースの言葉で、主将の心に火がついた。

 2球目の内角高め直球。難しい球を、中村は迷いなく振り抜いた。打球は中堅へ高く上がり、懸命に前進した中堅手の前にぽとりと落ちた。「何とか一本出そうという思いだった」

 執念の一打に福島も応える。八回を3人で片付け、九回1死一、二塁からは代打鈴木を三振、宇都宮を遊ゴロ。118球を投げ切り、何度も食らい付いてきた三重打線を振り切った。

 ベンチには2年生左腕の田中も控えていた。前日160球を投げた福島に西谷監督が状態を尋ねると、エースは「行かせてください」と即答。「(背番号1を)着けるからには恥じない投球をしたい」。その思いが粘りの投球につながった。

 昨年の森(西武)のようなスター選手はいない。今春の選抜は出場を逃し、弱くなったと言われたこともあった。だが夏に気持ちを切り替え、粗っぽさのあったバントなど基礎を徹底。練習量を格段に増やし、ひと冬越えて選手たちの腰回りはたくましくなった。

 「このメンバーでやってきて良かったと本当に思う。全員に感謝の気持ちを伝えたい」と中村。あふれる涙を抑え切れなかった。