日韓交流の足場に、スポーツの力に期待の声
アジア大会、20年東京五輪への出発点
仁川アジア大会は、日韓関係が近年最も冷え込んだ状態で開幕を迎えることになりそうだ。歴史認識をめぐる対立から両国の首脳会談が実現せず、互いの国民感情の悪化も懸念されている。関係改善の見通しが立たない厳しい状況は続くが、スポーツの祭典が持つ前向きな力を信じる声も聞こえてくる。
国家間の緊張状態とは異なり、スポーツ界では日韓の友好関係が保たれている。昨年9月に2020年夏季五輪の東京開催が決定した後、日本オリンピック委員会(JOC)は、18年平昌冬季五輪を開く韓国のオリンピック委員会と両大会の成功に向けて協力し合うことを確認した。JOCの竹田恒和会長は「難しい時代だが、スポーツはこれまでもいい関係を築けている」と自信を示す。
仁川大会組織委員会の関係者の一人は、「東京五輪開催が決定して以降、韓国でスポーツに対する関心が高まった」と話す。7月には17年冬季アジア大会開催地の札幌などを訪れ、精力的に大会をPRした。「スポーツは両国関係を活性化させ、交流の助けになると思う。日本の観光客が韓国にたくさん来て、17年の札幌、20年の東京にも韓国人がたくさん行くという期待がある。スポーツが反韓、反日集会の場になるとは考えていない」
6年後の東京五輪までビッグイベントが続き、日韓両国ではスポーツの価値と潜在力を再認識する機会が増えるかもしれない。東京五輪組織委員会の武藤敏郎事務総長は、「政治状況を超えて交流できる、人間としての純真なものという理解は(国際的に)共有されているのではないか」と期待を込める。