山梨大、「宇宙マウス」が初めて誕生


フリーズドライにしてISSで精子を9カ月間保存

山梨大、「宇宙マウス」が初めて誕生

世界で初めて宇宙で保存した精子から誕生したマウスの赤ちゃん(写真中央)(山梨大の若山研究室提供)

 山梨大学は30日、フリーズドライ(真空凍結乾燥)にして国際宇宙ステーション(ISS)で9カ月間保存したマウスの精子から、赤ちゃんが誕生したと発表した。同大生命環境学部の若山照彦教授らと宇宙航空研究開発機構などの共同研究。魚類や両生類では成功例があるが、哺乳類では世界初という。

 同大によると、昨年8月に打ち上げた無人補給機「こうのとり」で、フリーズドライにしたマウスの精子をISSに運び保存。今年5月に回収し、通常のマウスの卵子と特殊な機器で人工授精させた。

 宇宙では強い放射線にさらされるが、精子に影響は見られないという。生まれたマウスは健康で、今後は繁殖能力や寿命などを調べる。ISSでは精子を最長3年間保存し、同大などは来年以降も回収、授精を試みる。

 若山教授は同大で取材に応じ「(放射線は)9カ月間くらいでは生殖細胞に影響はなかった」と説明。「赤ちゃんができるというのが一番の結果。ウシにも応用が期待できるが、今回は100年、200年後を見た基礎研究だ」と話した。