ISS船長の任務に「重さ感じた」


帰国の若田光一さんが会見

ISS船長の任務に「重さ感じた」

日本人初の国際宇宙ステーション(ISS)船長を務め、帰国後初の記者会見に臨む若田光一さん=29日、東京都千代田区

 2013年11月から今年5月にかけ、国際宇宙ステーション(ISS)に約半年間滞在し、日本人初のISS船長を務めた若田光一さん(50)が29日、東京都内で記者会見し、「乗組員全員の安全管理やISSの機能維持など、任務の重さは感じたが、訓練で学んできたことを生かして対応できた」と振り返った。

 若田さんは今年3月、同僚のロシア人飛行士から引き継ぎを受け、帰還までの2カ月余りの間、船長として米国、ロシア5人の飛行士の指揮を執った。

 苦労した点を問われた若田さんは、米国の無人補給機の打ち上げ遅れによるスケジュール調整を例に挙げ、「実験を台無しにしては困るが、働き過ぎて健康を損ねるリスクもある」と難しい判断を迫られたと説明。「仲間と一緒に食事をすることで気持ちをほぐした。同じ時間に食事を取ると笑いが絶えない。それでリラックスできた」とストレス解消法を語った。

 約1年ぶりに帰国した日本では、24年までのISS計画参加延長や、その先の月、火星探査に向けた議論が進む。若田さんは「ISSの機能はまだ使い切れていない。日本は人的なリソースも高いレベルにあるので、もっとISSを活用したい」と訴えた。

 日本人最多の4回めの飛行を終えたが、「生涯現役」を宣言している若田さん。「まずは第2、第3の船長が出せるよう、他の飛行士の準備を支援していく」としながらも、「やり残したことはたくさんあるし、反省点もある。ロシアやアメリカでは50代後半や60歳になってもISSで活躍している飛行士もいるので、私も現役で頑張りたい」と意欲を見せた。