大鵬の「32回」見据える白鵬、大台で映った絶景


大相撲夏場所で30度目V

大鵬の「32回」見据える白鵬、大台で映った絶景

30度目の優勝を果たし、賜杯を受け取る白鵬(左)=27日、愛知県体育館

大鵬の「32回」見据える白鵬、大台で映った絶景

白鵬(左)は日馬富士を上手出し投げで下して優勝を決める=27日、愛知県体育館

 波乱は起きなかった。起こさせなかった。日馬富士をねじ伏せ、優勝回数を30の大台に乗せた白鵬は「千秋楽まで優勝争いをして、本当に苦労した。うれしい」。場所前から硬かった表情に、ようやく柔らかな笑みが広がった。

 負ければ琴奨菊、豪栄道とのともえ戦が待っていた結びの一番。白鵬は3度目で成立した立ち合いで日馬富士に押し込まれ、一瞬で俵に詰まった。だが、右下手を命綱に体勢を整える。上手を引いて一呼吸。左から強烈な出し投げを決めた。

 大鵬は膝のけがや病気で、千代の富士は肩の脱臼で休場を繰り返しながら、現役生活の晩年になって30回にたどり着いた。白鵬は7年前に横綱に昇進して以降、まだ休場がない。引退までに大鵬が28、千代の富士が29個を配給した金星も、まだ8個だけ。大きなけがさえなければ、大鵬の優勝32回も通過点になりそうだ。

 ただ、今場所の2敗は、ともに攻め急いで自滅した形だ。元千代の富士の九重親方は「大事な一番で落とすことが多くなった」とみている。徐々にだが、衰えが見え始めているのも確か。今後も第一人者で居続けるには、さらに研さんが求められる。

 場所前に「どんな景色か想像している」と期待を膨らませていた、大台からの眺め。たどり着いた実感は「幸せです」。道のりが険しかった分だけ、鮮やかな絶景に映ったようだ。