大砂嵐が初挑戦で金星、力自慢が逆転の投げ
2日続けて波乱、北の湖理事長「動きが速かった」
猛暑の名古屋で2日続けて波乱が起きた。この日の主役は大砂嵐。初の横綱戦だった鶴竜から金星を奪い、「気持ちは変わらない」「普通」「いつもと一緒」。言葉とは裏腹に、付け人と顔を合わせながら何度も頬を緩めた。
警戒された右のかち上げは不発。逆に簡単に上手を許し、寄り立てられた。鶴竜の巻き替えに合わせて、右をねじ込んで応戦。「やれることをやるしかない」と大砂嵐。守勢に回っても諦めない。右から捨て身のすくい投げに、横綱の体が崩れた。鮮やかな逆転劇だった。
横綱、大関陣と対戦する位置まで番付を上げた今場所。まだ力に頼った粗い取り口も目立つ。だが、この日ばかりは北の湖理事長(元横綱)が褒めた。「動きが速かった。思い切ってすくったからまわしが切れた」
初土俵から15場所目での金星獲得は、小錦に次ぐ2位のスピード記録(年6場所制となった1958年以降に初土俵)。大砂嵐はこんな数字を聞いても「場所が終わってないから、うれしいとか、うれしくないとかは、まだ早い。あしたがある」。こんな心掛けのご褒美のような金星だった。