炎熱のキャンプ、断食入り


「命に感謝する」イラクの避難民に笑顔も

炎熱のキャンプ、断食入り

ラマダン(断食月)入りした避難民キャンプで、笑顔を見せるイラクの人々=29日、イラク北部ハザル(時事)

 イスラム世界はラマダン(断食月)を迎え、過激派の脅威から逃れてきたイラク人が暮らす避難民キャンプでも29日、多くの人々が断食を始めた。「日中50度、夜間も40度」(援助関係者)という過酷なテント暮らしの中、日中の飲食を一切絶つ。しかし、宗教心の高まりもあってか、「命に感謝する」と語ったり笑顔を見せたりする人もいた。

 イラク北部モスルの約40キロ東方のクルド人自治区との境界地帯に設置されたハザル避難民キャンプ。イスラム教スンニ派の過激派「イラク・シリアのイスラム国」が6月10日にモスルを制圧して以降、次々と人が集まり、現在は2000人ほどが暮らしている。

 モスル南方のハダルが砲撃され、2週間前に逃げてきたというハドル・サーイルさん(48)は「生活が苦しいのはハダルも同じ。キャンプは安全で、命があることに感謝する」と話した。サーイルさんの妻アムシャさん(45)は、ラマダンについて「これまでも断食同然の生活。神の試練であり、この状況を生き抜く」と笑顔で語った。

 聖典コーランに従って断食が行われるラマダンはイスラム教徒の間で神聖視され、連帯意識を高めることで知られる。ただ、過酷な状況での断食は体調を崩す恐れがあり、電気が引かれたテントの一部ではエアコンが導入されていた。(ハザル〈イラク北部〉時事)