手震えた最後のパット


酒井美紀、初Vにうれし涙

手震えた最後のパット

ツアー初優勝を決め、表彰式で笑顔を見せる酒井美紀=29日、千葉・カメリアヒルズCC

 プレーオフ2ホール目、入れば優勝のパーパット。50センチほどの距離が、酒井には1メートルぐらいに感じられた。「あれぐらいのパットはすごく苦手」。打った後に手が震えたものの、ボールがカップに消えると、うれし涙が止まらなかった。

 終盤、アン・ソンジュとの競り合いは残り3ホールで2打リード。「優勝できるかな」とも思ったが、一つ前の組のアンが18番でイーグル。追い付かれて「簡単に優勝できないな」と痛感したという。それでも切り替えてプレーオフに臨むと、2ホール目でアンのティーショットが右の池へ。酒井は自分のプレーに徹し、強敵を振り切った。

 福島県いわき市出身。日本女子アマチュア選手権を制した2010年にプロ転向後、なかなか勝てなかった。年下の選手が先に初優勝を果たす様子を見ながら、「自分は自分。一歩一歩で」と自らに言い聞かせた。

 今季は開幕2戦目のプレーオフで敗れるなど、2位も2度。技術、メンタル、体力の全てが「どれも良くなってきている」と言う。手応えにうそはなく、ついに栄冠に手が届いた。