外国人ツアー客には言葉やメニューで対応を拡充

外国人客増で百貨店や外食業界に新たな商機

インドネシアからのツアー客で昼間からにぎわうコロワイド東日本の居酒屋「北海道」八重洲店=23日、東京都中央区

 年間1000万人を突破した訪日外国人客の存在感が、百貨店や外食業界で高まっている。10月から化粧品や食品が新たに免税扱いとなる百貨店は、専用カウンターの増設や外国語スタッフの充実など受け入れ態勢を強化し、売り上げ増につなげようとしている。

 外国人観光客の姿が目立つ東京・銀座。その中心に位置する三越銀座店は、4月の売上高が51億3500万円と前年同月比1・1%増加した。消費税率引き上げの影響でほとんどの百貨店が減収となる中、同店は外国人向けの免税品販売が売り上げ全体の1割強を占めるまで伸び、プラスを確保した。

 増える外国人客に対応するため、同店は英語や中国語を話す買い物のサポート役を今春増員。10月に向けては、免税手続きカウンターを2倍以上に増やす。同店に近接する松屋銀座店は、食品売り場にも免税カウンターを設け、外国人客への販売を強化する方針だ。

 一方、不振が続く多くの地方百貨店は、免税品の売上比率が1%にも届かない。日本百貨店協会の井出陽一郎専務理事は「訪日観光客が2000万人になれば、地方にも行く」とさらなる訪日客拡大に期待する。

 外食業界も新たな商機として、外国人ツアー客に注目する。居酒屋チェーン「北海道」などを運営するコロワイド東日本(横浜市)は、2012年から旅行代理店などと連携し、ツアー客受け入れに取り組んできた。夜の営業が中心の居酒屋にとって、昼間の売り上げ増加につながるからだ。

 同社の担当者は「日本的な体験として、居酒屋に行きたいという観光客は多い。開拓の余地は大きい」と指摘。今年度は20万人の受け入れを目指し、食材を工夫した外国人向けコースの導入や、4カ国語対応のメニューの作成など態勢づくりを進めている。