吉宗命じた全国測量図「享保日本図」を公開


広島県立歴史博物館の寄託資料から新発見

吉宗命じた全国測量図「享保日本図」を公開

新たに見つかった「享保日本図」の測量原図=12日午後、広島県福山市の県立歴史博物館

 江戸幕府8代将軍徳川吉宗が命じて作らせた日本地図「享保日本図」(1725年ごろ)の測量原図が、広島県立歴史博物館(福山市)の寄託資料から見つかり、12日報道公開された。伊能忠敬の「大日本沿岸輿地全図」より100年以上前のもので、専門家は「当時の測量技術を知る貴重な資料」と話している。

 享保日本図は、初めて本州や四国、九州などの位置を測量で決定したとされる。縮小図1点が現存しているが、測量原図は新発見。福山市出身の元メリルリンチ日本証券会長守屋寿さん(72)が、博物館に寄託した古地図約840点の中にあった。

 測量原図は縮尺21万6000分の1で、縦152センチ、横336センチ。北海道南部から九州の種子島までが記載され、約200カ所の観測点と測量目標となった高い山が赤の直線で結ばれている。

 鑑定した川村博忠東亜大客員教授は「当時の高い測量技術や地図の作製方法を裏付ける」とコメントした。

 測量原図は13日から同博物館の企画展で公開される。