映画「ポンペイ」
古代のスペクタクル・ロマン
イタリアのナポリ湾に面した古代都市ポンペイは、ヴェスヴィオ火山の噴火で地中に埋没した。西暦79年8月のことだ。この超大作はポンペイ最後の日に若き男女が演じたスペクタクル・ロマンである。
監督はポール・W・S・アンダーソンで、『三銃士』に続いて古代の物語を最新技術で作り上げている。スタジオでは入念な調査によってポンペイの町が再現され、作った衣装は3000着に及んだという。
物語は北ブリタニアで始まる。噴火の年の17年前で、ローマ軍がケルト騎馬民族が住む村を襲撃して一族を虐殺。だが少年マイロは死を免れて生き延びる。少年は奴隷商人に捕えられ、剣闘士として育てられる。
逞(たくま)しく成長したマイロ(キット・ハリントン)は、腕の立つ剣闘士を各地から集めているというポンペイに連れていかれた。旅の途中ポンペイ近くで、彼らは馬車が轍(わだち)にはまって立ち往生している場面に遭遇し、その場を収拾したマイロは乗っていた有力者の娘カッシア(エミリー・ブラウニング)と恋に陥る。
カッシアはローマから帰国の旅にあって、邸宅では両親が元老議員コルヴェス(キーファー・サザーランド)を迎える準備で大わらわ。彼はローマでもカッシアをわが物にしようと付きまとっていたが、17年前にはケルトの村を襲撃したローマ軍の指揮官だった。
そしてコロシアムでマイロらの果し合いが行われようとする日、火山が唸(うな)りだす。(岳)