福島・南相馬、避難区域で病院再開
常設の医療機関で初
東京電力福島第1原発事故で避難区域に設定された福島県南相馬市小高区で、休診が続いていた市立小高病院が23日、約3年ぶりに診療を再開した。宿泊が認められていない避難区域で、常設の医療機関が再開するのは初めて。同市は2016年4月に区域の大半を解除する目標を掲げており、住民の帰還に向けた環境整備の一環だ。
診療は午前8時半から開始。直後に病院を訪れた松本友好さん(66)夫妻は、小高区に近い市内の仮設住宅に避難中で、これまでは約2時間かけて別の病院に通っていた。松本さんは「家も近くだし、知っている先生もいてほっとする」とうれしそうに話した。
病院では週3日、医師4人が交代で診療し、内科を中心に症状が軽い外来患者を受け付ける。一時帰宅中の住民や除染作業員らが主な対象となる。病院本棟は地震被害で使用できず、平屋のリハビリ棟を改修した。
病院がある地区には現在、帰還準備のため自宅に戻る住民や除染などの工事関係者が出入りしており、工場やガソリンスタンドなども再開している。今後は、常勤医師の確保や入院機能などの拡充が課題となる。
同県の避難区域の医療機関では、浪江町に仮設の診療所があるほか、県立の仮設診療所を楢葉町に新設することが決まっている。