囲碁を学べる学童保育、福岡市内で人気


礼儀や集中力養い、段取得も

囲碁を学べる学童保育、福岡市内で人気

学童保育「桜道場」で、真剣な表情で囲碁を打つ子供たち=2月17日、福岡市

 共働き家庭などの小学生を放課後に預かる学童保育のうち、福岡市内では囲碁を学べる民間の施設が人気を集めている。「礼儀、集中力、決断力を養う」といわれる囲碁に親しんでもらうため、同市内の夫婦が2012年9月に開設。知育の一環として保護者の間で関心が高まっているという。

 同市早良区の学童保育施設「桜道場」は、囲碁教室を主宰していた森謙司さん(60)と妻靖子さん(58)が運営する。共働きで2人の子供を育てた経験から、「働くお母さんを応援したい」との思いで、囲碁を教える学童保育を思い付いた。

 「こんにちは」。午後3時半ごろ、子供たちが続々とやってくる。「礼儀には特に力を入れている」(靖子さん)といい、どの子もしっかりと目を見てあいさつをする。

 宿題を終えると、相手を見つけ碁盤に。にぎやかだった室内が静まりかえり、「パチッ、パチッ」という音だけが響く。子供たちは「勝ち負けがはっきりしていて面白い」と魅力を語る。

 桜道場では、プロ棋士から直接手ほどきを受けることができる。謙司さんが日本棋院(東京都千代田区)に直談判して実現、「子供たちのいい刺激になっている」という。

 現在、38人の児童が通う。ほとんどが囲碁は初めてだが、1年で段を取得する児童も。1年生の山本夏生君(7)は約8カ月で初段まで上り詰め、「名人になるのが夢」と目を輝かせる。

 保護者からの評判もいい。夏生君の母親(48)は「礼儀のほか、学力の面でもよい影響がある」と実感している。

 評判を聞き付け、遠方に住む保護者からの問い合わせが多いことから、他地域に同様の施設をつくる計画も進む。現在、企業や個人から出資を募っており、謙司さんは「囲碁の普及とともに、働く母親やシングルマザーの支援につなげたい。ぜひ協力してほしい」と呼び掛けている。