世界で反戦デモを、ウクライナ大統領が呼び掛け
侵攻から1カ月、首都キエフから声明、苦戦するロシア軍
ウクライナのゼレンスキー大統領は24日未明、ロシアのウクライナ侵攻から1カ月に合わせたビデオ声明で「世界はこの戦争を止めなければならない」と語り、24日から世界各地で反戦デモを行うよう呼び掛けた。「ロシアは自由に対する戦争を始め、世界中のすべての人々の自由を打ち負かそうとしている」として、ロシアへの抗議をさらに強めるよう訴えた。
首都キエフからの声明で「われわれを破壊し、地球上から消し去ろうとする試みに対する自衛の戦いは既に1カ月となった」と強調。「ロシア軍の当初の計画は侵攻の最初の日に既に失敗した」と述べ、「ウクライナ人が戦わないと思っていたのだ。彼らは間違っていた」と指摘した。
その上で「24日以降、オフィスや家、学校からウクライナのシンボルを掲げ、自由と命を支援するために出てきてほしい。広場や街頭に繰り出し、自由や平和、ウクライナが大切であることを訴えてほしい」と反戦デモの展開を求めた。
ロシア軍は苦戦が伝えられている。米国防総省高官は23日、ロシア軍がウクライナ側の激しい反撃を受け、キエフ周辺から後退したとの分析を明らかにした。ウクライナ軍は各地で反転攻勢に出つつあるという。
複数の米メディアは23日、侵攻1カ月間で、ロシア軍の最大4万人が死傷または捕虜、行方不明になったとする北大西洋条約機構(NATO)の推計を報道。うち7000~1万5000人が戦死したとみられている。侵攻前には最大19万人がウクライナ国境にいたとされ、5分の1近い兵力を失った計算だ。
タス通信によると、ロシアのプーチン大統領は24日、安全保障会議を開き、ショイグ国防相が軍事作戦の状況について報告した。停戦交渉に関し「ウクライナ側の緩慢さに遺憾の意が示された」という。
また、ラブロフ外相と赤十字国際委員会(ICRC)のマウラー委員長が24日、モスクワで会談した。マウラー氏は会談後の共同記者会見で「今、前線は非常に困難な状況だ」と強調。都市部で戦闘が行われ「民間人が苦しんでいる」と訴えた。(ワルシャワ時事)