世界で反戦デモを、ウクライナ大統領が呼び掛け


侵攻から1カ月、首都キエフから声明、苦戦するロシア軍

世界で反戦デモを、ウクライナ大統領が呼び掛け

ウクライナの激戦地マリウポリの子供たちを守るよう訴える反戦デモ=22日、チェコ・プラハ(AFP時事)

 ウクライナのゼレンスキー大統領は24日未明、ロシアのウクライナ侵攻から1カ月に合わせたビデオ声明で「世界はこの戦争を止めなければならない」と語り、24日から世界各地で反戦デモを行うよう呼び掛けた。「ロシアは自由に対する戦争を始め、世界中のすべての人々の自由を打ち負かそうとしている」として、ロシアへの抗議をさらに強めるよう訴えた。

 首都キエフからの声明で「われわれを破壊し、地球上から消し去ろうとする試みに対する自衛の戦いは既に1カ月となった」と強調。「ロシア軍の当初の計画は侵攻の最初の日に既に失敗した」と述べ、「ウクライナ人が戦わないと思っていたのだ。彼らは間違っていた」と指摘した。

 その上で「24日以降、オフィスや家、学校からウクライナのシンボルを掲げ、自由と命を支援するために出てきてほしい。広場や街頭に繰り出し、自由や平和、ウクライナが大切であることを訴えてほしい」と反戦デモの展開を求めた。

 ロシア軍は苦戦が伝えられている。米国防総省高官は23日、ロシア軍がウクライナ側の激しい反撃を受け、キエフ周辺から後退したとの分析を明らかにした。ウクライナ軍は各地で反転攻勢に出つつあるという。

 複数の米メディアは23日、侵攻1カ月間で、ロシア軍の最大4万人が死傷または捕虜、行方不明になったとする北大西洋条約機構(NATO)の推計を報道。うち7000~1万5000人が戦死したとみられている。侵攻前には最大19万人がウクライナ国境にいたとされ、5分の1近い兵力を失った計算だ。

 タス通信によると、ロシアのプーチン大統領は24日、安全保障会議を開き、ショイグ国防相が軍事作戦の状況について報告した。停戦交渉に関し「ウクライナ側の緩慢さに遺憾の意が示された」という。

 また、ラブロフ外相と赤十字国際委員会(ICRC)のマウラー委員長が24日、モスクワで会談した。マウラー氏は会談後の共同記者会見で「今、前線は非常に困難な状況だ」と強調。都市部で戦闘が行われ「民間人が苦しんでいる」と訴えた。(ワルシャワ時事)