「電力需給逼迫警報」発令、産業界は節電に奔走


暖房抑制や消灯などを徹底 自家発電を活用する動きも

「電力需給逼迫警報」発令、産業界は節電に奔走

「電力需給逼迫(ひっぱく)警報」の発令を受け、一部の照明を消した横浜高島屋のエスカレーター=22日、横浜市

 東京電力や東北電力の節電要請を受け、産業界はオフィスや店舗の暖房の室温設定を抑えたり消灯を徹底したりするなど、対策に追われた。製造業では、自社工場で消費する電力の一部を自家発電で賄おうとする動きもあり、これまでのところ生産活動に大きな混乱は生じていないようだ。

 セブン-イレブン・ジャパンは、節電要請の対象地域にある加盟店約1万店に、店内の暖房温度を20度に設定したり防犯上問題ない範囲で看板の照明を消したりするよう要請した。横浜高島屋でも一部照明の使用をやめるなど、小売業界は利用客に迷惑が掛からないよう小まめな対策を積み重ねた。

 各地に工場を抱える製造業では、JFEスチールや日産自動車などが自家発電設備の稼働を増やした。一方、鉄くずなどのスクラップを原料にして鉄鋼製品を生産する際、大量の電気を使う電炉メーカーの東京製鉄は、計画していた生産の一部を別の日に振り替え、節電に協力した。

 経団連は、加盟企業に対し10%の節電を呼び掛けた。十倉雅和会長は22日の記者会見で、「エネルギーの安定は、非常に身近で大変重要な問題と国民の中でも認識されている」と指摘した。最近のエネルギー価格の高騰などを考慮し、安全性の確保と地元同意を前提にして既存の原子力発電所を再稼働させる必要性を訴えた。